2019-12-29

優しい配慮  NO 8667

三朝温泉 旅館の朝食妻の様子が芳しくない。病院からの帰路、停まったタクシーから3人の女性が降り、手を振っている。近所の方々や妻の友人だった。

また病室に戻って見舞いの来室を伝えたが、皆さんがげっそりと痩せてしまった表情に驚かれていた。

元気だけが取り柄だった妻だが、数日で変貌してしまった事実に疑問を抱き、部屋に来られた看護師さんに尋ねたら、病状に関しては主治医しか答えられませんと言われた。

友人の一人が手を握り、「力を入れて握り返しなさい」と言われたら、かなりの力を感じたので大丈夫と安心させてくださったが、いつも高齢者を相手にされている人物らしいテクニックだった。

昼食はいつもの「がんこ」に立ち寄ったが、夕食は今日で年内営業という友人の割烹へ行った。古くから交流のあるご夫妻に会ったが、本当に久し振りだったので懐かしかった。

部屋にはいっぱいのお客さんがいるみたいで、ひっきりなしに追加注文の内線電話が鳴り、厨房はまるで戦闘モードになっていた。

しばらくすると若いカップルが来店し、2回目だという「すっぽん料理」を注文し、捌くところから料理が出されるまでをスマホで撮影し、これもインスタ映えなのだろうかと眺めて来た。
風邪の症状があった女将さんが出て来られた。先週の土曜日に医院で会った際はマスクを掛けて涙目で苦しそうだったが、症状は楽になったけど話をすると咳き込むので下がっていると言われていた。

彼女が私の前にそっと文字の書かれた紙を出された。それは他のお客さん達には気付かない配慮がされていたが、次のように書かれていた。

「昨日お赤飯を炊きました。なかなか持って行けずにおりました。少しですが召し上がってください。お帰りの時に車の所でお渡しします。咳が出るので奥さんのお見舞いにうかがえませんが、よろしくお伝えください」

彼女は赤飯を炊くといつも我が家に届けてくれる。私が赤飯好きなことを知っているからだが、50年前からの知り合いで、前号で触れた醤油味の「たこやき」の味を知っている唯一の人物なのだ。

帰る際、メキシコでの仕事から帰国していた息子さんから託された赤飯には、また次のようなコメントが添えられていた。

「冷蔵庫に入れて頂いたら、一週間位は大丈夫です。何日かに分けて召し上がってください。レンジが使えたら召し上がる前に温めてくださいね」

「有り難う。いただきますと」と書いておこう。いよいよ年の瀬だが、真向かいの医院の電器が消えているので寂しくなる中、地域の防犯委員の方々が巡回される拍子木の音が聞こえる。

12月の19日から1月7日までグァムで過ごす筈だった妻だが、病院で信念を迎えるとは考えていなかっただろう。

知る人ぞ知ると話題のすっぽん料理の「豊水」だが、政治家の石井一氏が来店された際、「これまで食べたすっぽん料理の中でここが一番だということは日本一だ!」と賛辞されたそうだが、40年前から通っている私は、未だにすっぽん料理は食べたことはなく、いつもオリジナルメニューを頼んでいる。

その割烹をやっている友人にはびっくりする過去の出来事がある。北新地で修行していた時に、来店された関西電力の役員さんが彼が石原裕次郎さんの大ファンであることを知ると、直接ごP本人に電話を掛けて来阪の約束に進み、やがて数日後にご本人が来店され、彼がご本人の前でアカペラで歌ったという出来事だった。

現在の関西電力は一連の騒動でややこしいが、当時は映画「黒部の太陽」を撮影中で、こんな信じられない出来事に発展したのだろう。

今日の写真は三朝温泉で利用した旅館の朝食を。。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net