2003-05-22

ソース味    NO 437

出張先で「お好み焼き」屋さんに2人で入った。80人ぐらいの席がある大きな店。鉄板のついたテーブルに座ると係員が注文を聞きにきた。

 お好み焼きと焼きソバを注文し、生ビールの小もお願いした。

 しばらくすると「当店は、ご自分で焼いていただきます」と言って、お好み焼きだけを持って来られ、「焼きソバは、焼いて持って参ります」ということだった。

 やがて、お好み焼きが出来上がる。しかし焼きソバが届かない。「焦げてしまう」というところからお好み焼きに手をつけるが、焼きソバが信じられないほど遅い。

 鉄板の上のお好み焼きがなくなった。そんな時、「お待たせしました」と焼きソバがきた。

 お好み焼きと焼きソバなら、どこの店でも焼きソバが断然早く焼き上がるもの。不思議な店だと話しながら焼きソバを食べ出したが、生ビールが届かない。

 テーブルの横を何度か往復をされるスタッフ、私達のテーブルを担当してくれた人も気付いてくれない。どうやら忘れられてしまっているようだ。

 「聞き忘れたのかも知れないぞ」と同伴者が言い、テーブルの上にあった勘定書きに目を通した。

 ビールが記載されている。間違いなく忘れている。

 そんな時、鉄板の火を消しに担当スタッフがやってこられた。もう、焼きソバも平らげた後。

 そこで同伴者が「ビールはどうなっていますか?」と訊ねた。

 スタッフの顔色が変わる。「申し訳ございません。忘れていました。今からでもよろしいでしょうか?」

 「お願いします」となってビールが届けられた。

 お好み焼きと焼きソバにはビールが最高にマッチする。ビールだけを飲んでも味気のないもので残念だったが、しばらくして店を出ることにした。

 レジに向かうと担当スタッフが飛んできて申し訳なさそうに謝罪され、レジを担当してくれる。

 支払って外に出て明細書を見ると、ビールの部分が消されてあり、サービスとなっていた。

 ミスは誰にでもある。怒りも生まれるだろうし、こっぴどく責める性格の人もある筈。

 私は、こんな時、いつも自分が試されていると思うようにつとめ、怒りを一切表さないことにしているが、今回の同伴者は、そんな私の性格を知っており、「得することもあるんだな」と笑っていた。

 そこでひとこと反論、「ビールを得したのじゃないよ。勉強させてもらう機会を与えられたことが得だよ」
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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