2012-10-31

諸行無常  NO 3092


 所用があって新快速を利用したが、往路の車内のアナウンス「いつものお願いで申し訳ございませんが」と前置きが入り、「優先座席付近では電源をお切りください。それ以外のところではマナーモードに設定いただき、ご通話はご遠慮ください」と流れた。

 携帯電話が登場してから随分と経つが、スマホの時代が到来してもマナー違反の人が結構いるよう。日本人の社会的マナー欠如を物語るような事象である。

 過日に書いたロンドンブーツの「田村淳」氏が謝罪の姿勢を表明し、レギュラー番組の出演を自粛というニュースがあったが、常識を教えてあげる人が周囲に存在したらこんな愚かな事件は起きなかっただろうと想像する。

 お笑い芸人は「笑わせる」のが仕事だが、絶対に「笑われる」ことをしないのがプロの筈。過去に妥協してしまって後悔した出来事があったので恥ずかしながら披露申し上げる。

  あるテレビ番組から出演依頼があり、司会を担当する人物と出演者の一人が亡くなったことにしてナレーションをやって欲しいという企画があった。私は出演し たくなかったが、電話を受けた担当者が了解してしまったので断り切れず、気分が乗らないまま当日にテレビ局へ向かった。

 出演者の一人は ヒット曲もあったので問題なく創作したが、司会者の人物をどうするべきかと迷いながら、ベンツに乗るのが目標だったという情報を入手したので「笑われる芸 人から笑わせる芸人になった暁にはベンツを」と少し嫌味な言葉を用いたら、プロデューサーから「さすがに日本一の葬儀司会者です」と驚きの言葉を頂戴した し、その番組を偶然ご覧になっていた方のブログにもそんな感想が綴られていたのでびっくりだった。

 その後悔だが、それからしばらくした頃、ご本人が事件を起こし、テレビの世界で全く姿を見ることがなくなった。結果として、彼は社会から「笑われる」立場になってしまった訳で、すでにベンツに乗っていたことを後で知ったが、今はどうしているのだろうかと気になっている。

  テレビや新聞報道で考えられないミスが続いている。尼崎の奇怪な事件のニュースで何度も目にした和服姿の写真が被疑者でなかった事実にびっくり仰天。各社 のキャスター的立場の人達がお詫びの発言をしていたが、一気に有名人となってしまったご本人の心情を考えると余りあるものがあり、報道のプロならしっかり と取材しなさいと伝えたい。

 ロック歌手の「桑名正博」さんのご葬儀のニュース映像を見たが、その中で<これは間違っている>と思った光 景が飛び込んで来た。それは、葬儀委員長を務められた内田裕也」氏が謝辞をされる場面。ご遺族と並んでいる後方に祭壇とご遺影が見える。これは、センター を少しは外すのが常識で、誰も誘導しなかったのかと残念に思った。

 今日の写真はご逝去された「藤本義一」氏とご一緒したひとこま。女性 は「松居一代」さんだが、何度かこの番組に出演した歴史がある。その発端になったのは、奈良県で担当させていただいたある葬儀。司会を終えてから片付けを していると「名刺をいただけるかな」とご親戚の男性が仰った。

 その方の奥様のお身内のご不幸だったと伺ったが、それからしばらく経った 頃に電話をいただき、夕方にテレビ局へ入って欲しいと依頼があった。その方はテレビ局の制作担当の役員さんで、私の司会の声と抑揚に期待して頼みたいと言 われたのがこの番組で、スタジオのセットが秋の京都の「化野(あだしの)」をイメージし、オープニングにモデルさんが尼さんの装束で数珠を手に歩く姿を設 定され、そのバックに流れる音楽に合わせてナレーションを入れるというものだったが、局アナ達では「味」が伝わらないと、放送作家と打ち合わせしている時 に私の存在を思い出されたそうだった。

 放送は生だったが、ナレーションは先に収録する形式で、録音室でテストを一回やって「2秒伸ばし て欲しい」と言われて本番収録。それを一回でクリアしたのだから関係者が驚かれ、何度か試されて失敗したたアナウンサー達が「葬儀屋さんの方が凄いだろ う。君達、もっと勉強しなさい」と叱責されたので気の毒だった。

 著名な大阪人のご訃報が多い。静かにご生前のお姿を思い浮かべながら手を合わす。

久世栄三郎の独り言(携帯版)
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