2011-10-22

恐~い体験から  NO 2730


 夜、暗くなってから急に雨が降り出したと思ったら、上がった。ちょうどお通夜の始まる前頃だったが、天気予報によると、今晩遅くから明日の午前中に掛けて荒れ模様とのことで、雷や突風に注意と報じていた。

 さて、関東や九州などの地方に行くと葬儀のお供えとして「花輪」が用いられているが、葬祭式場の増加により、これらが激減している。

 大阪を中心とする関西周辺では「シキミ」となっていたが、これらも花輪と同じで、もう風前の灯という状況を迎えている。

 警察庁による組関係に対する取締りが強化され、自治体の条例などでもこれまでには考えられなかった厳しい罰則までも設定されており、我々葬祭業界にあっても神経を遣う現実となっている。

  随分と昔の話だが、ある組関係の葬儀で「シキミ」が寺田町駅から林寺一丁目までの国道25号線に並んだというケースがあった。当時は、すべて代紋入り。生 花会社が多くの組の代紋の型を有しており、それを名札の上部に赤で塗るというやり方だったが、今では考えられない世界であった。

 先代から聞いた古い話だが、ある組葬を終えた際、入り口の黒幕をそのままにしておいてくれと言われたそうで、怪訝そうな表情をしていると「これから花会を開くのよ。黒幕があれば警察も大目に見てくれるので」なんて説明があったそうだ。

 組関係が侠客の世界と呼ばれた時代の出来事だろうが、今では想像もつかない現実の話である。

こ の仕事に就いてから間もなくのことだった。生野区外のある地域から葬儀の依頼があって参上したら、そこは組関係とはっきりと分かる事務所。覚悟を決めて入 り口のインターホンを押すと、中から見るからにそれらしき人物が登場。「お前は何や」と言われたのでびっくり。電話をいただいた葬儀社ですと答えると、 「親分、ついに葬儀屋まで来よりましたで」と大きな声。

 すると、中から「入って貰え」とドスの聞いた声が。それは、親分と呼ばれる人物らしく、案内されて恐々奥の方へ入って行った。

両 側に十数人の組員達が並んでいる。「そこへ座ってくれ」と言われて応接セットのソファーに掛けると、「兄ちゃん、電話をしてきたのはどんな声だった?」と 質問をされたが、そう言われても答えようのない問題。心の中で<何かが変?<>とは感じていたが、やがてその答えを親分の言葉から知ることになった。

当 社に依頼の電話があったのは、この組に対する嫌がらせ行為から。朝に喫茶店から10人前のサンドイッチが配達されたり、昼には寿司屋さんから10人前の寿 司桶が届けられたりと、注文もしないものが届くのでおかしいと思っていたら、ついに葬儀屋までやって来たという出来事だった。

「兄ちゃん、迷惑を掛けて悪いなあ。そう言う訳で誰も死んではおらんのよ。これ、足代だ。貰ってくれ」

 そう言われて出されたのは1万札1枚だったが、何より葬儀を担当しなくてよいことが分かって安堵。その1万円を有り難く頂戴して帰社した。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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