2011-10-16
今日の葬儀から NO 2723
午前中の葬儀に参列。喪主様にご挨拶に参上すると、隣席におられた奥様が予想だにしなかった私の昔の名刺を出されたのでびっくり。それは30年ほど前のものだったからだ。
当時に書いた小説「葬儀屋七万歩才のあの世の旅」も御笑覧くださったそうで、面白かったと感想まで頂戴して恐縮した。
随分と前からご相談を受けており、本来だったら私が司会を担当しなければならないお客様。こんな現在の状況ではそれも叶わず心苦しい思い。仕方なく弔辞に準じて葬送の言葉を述べることにした。
女性司会者による弔電の代読とナレーションに続いて、昨夜のお通夜で喪主様がご謝辞
の中で私のことを触れてくださった紹介をイントロに、マイクを貰ってご導師の後方でご遺影に向かって語り掛けた。
こんなことをする葬儀屋なんて日本で私だけだろうが、これがご仏縁の証の一つでもあり、僭越ながらも意義のあることだと信じている。
故人は96歳の偉大な女性。修験道の修行と徳を詰まれ「大阿闍梨」の尊号を贈られ、もちろんご生前に院号と法名を受けておられるお方。それだけにおかしな言葉は失礼になってしまう。そこで滅多にしないバージョンの語り掛けを行った。
ご導師が退出された後、控え室に参上すると「あれ、これからご法話で遣わせ貰っていいですか?」とお言葉を掛けられ、どうぞと申し上げたが、宗教者がそう仰ってくださったのだから悪くはなかったと自負している。
ご出棺をお見送り。すぐに女性司会者が本館で行われていた葬儀に自転車で走って行ったが、今日は彼女の予定が重なっていた日。なのにお二人の葬儀を担当して貰って申し訳ない思いが募った。
さて、過日のことだが、お寺で行われた葬儀の帰路に立ち寄ったお好み焼き店で読んだ女性週刊誌に驚かされた。占い師のビジネス的宣伝が多く掲載され、読者 の質問のある内容には所謂「霊感商法」から強迫されている記述があり、こんなものがまだ罷り通っているのかと衝撃を受けた。
「小学校に通 う子供が1年以内に交通事故に遭い、生涯不自由な生活を送ることになる、それを避けたければ幸運を呼ぶ印鑑を購入すればよい」なんてレベルのものだった が、「そんな馬鹿げた強迫を信じてはいけません。それは霊感商法の一種で問題になっています」と答えていた相談員。こんなことが掲載される女性週刊誌も、 時折には社会情報の入手ツールとして読まなければならないと思った次第である。
人は弱いもの。時に壊れてしまう繊細な神経を秘めている、故に愚かな物語に流されて被害に遭うことも少なくなく、振り込め詐欺なんて、そんな隙間を狙っていることになるだろう。
印鑑なら数万円から数十万円の被害で済むが、段々と強迫ストーリーが加えられ、気が付けば数千万円も貢ぎ込んだ事件も報じられていた。
心の揺れる弱い人達を巻き込んで二重の悲しみを与える輩は罰当たりそのものだが、こんな悪の道は、これからも永遠にイタチゴッコとして続くだろう。どうぞ、お気を付けてくださいますよう。