2009-07-22

司会と環境空間  NO 2484


 皆既日食の前日、西日本に大雨が降り、山口県では記録的な豪雨であちこちで土砂崩れが発生、多くの気の毒な被害者が出た。

 家族が電話一本で遺族になったことを知る瞬間、それは昨号のタイトル「自然の猛威」ではないが、誰も想像もしなかった衝撃との出遭いとなる。

 山陽新幹線が運休となり、中国自動車道と山陽道が通行止めになっているが、道路に関して復旧までにはかなりの時間を要するよう。まだまだ土砂崩れに対する危機感を抱き続けなければならないが、自然の猛威による被害者にならないような行動を考えたい。

 家族が突然遺族になると悲嘆の心情に陥り、悲しみの部分が強い怒りとして表れてくるが、その対象物となる相手が自然ということになれば憤り、行き場がないことになってしまうもの。故に司会者にとって非常に難しい条件が課されることになる。

 山口県のこの地域で葬儀司会者として活動している3名の女性と交流があり、その内の誰かが上述の被害者の葬儀を担当することになるだろうが、故人と遺族の皆さんとのご仏縁を大切に考えて欲しいと願っている。

 さて、ある著名な企業の社長から電話を頂戴した。特別に関係される方のご家族のご不幸、私のことを思い出してくださったそうで恐縮した。

 過去に、この会社の創業者の社葬を担当させていただいたご仏縁があったが、お会いするは久し振りのこと。お通夜が終わった頃に本社の式場へ行き、握手をしながら懐かしい再会のひとときとなった。

 お客様は遠方の方だったが、クリスチャン形式で行われた前夜式、持ち込まれてこられていたオルガンの音色と共に讃美歌の調べが流れていた。

 この季節は暑さが大変、その上に風雨となれば尚更。参列者全員がエアコンのある空間に入られることを望まれる。お墓の多い火葬場の式場での泣き所は意外なことで「蚊」の問題。ご希望されていた式場が重なっていて弊社の式場となったが、蚊の問題がないので喜ばれる筈だ。

 樹木や茂みの多いお寺で行われる御通夜、そこで「虫除けスプレー」とムヒなどの薬は不可欠。虫刺されで生じる痒みは想像以上にストレスが強く、悲しみの空間の環境をぶち壊してしまうから恐ろしい。

  弊社の女性司会者のナレーションに対する評価は高いが、どんなに充実した内容で素晴らしく語っても、参列される方々が過ごされている環境が伴わなければ苦 痛のひとときとなってしまう。風雨、気温、蚊などは、そんな環境に関して基本的にクリアしなければならない条件。人生最後の大切な儀式、それは、ご遺族と 参列者に平等の環境空間がなければ成り立たないことになるのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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