2009-06-22

退院前夜に  NO 2458


 朝一番のSTリハビリ、入院してから間もない頃に録音したひどい声を聞き、次に今月に入ってから録音したものとを画面で比較、何とか会話が通じるようになった最近の状態に喜びを感じ、担当の先生に心から感謝を申し上げる思いを込めて「仰げば尊し」を歌っった。

 アンパンマンやミッキーマウスのキーボードも忘れられない思い出となったが、懸命にご指導くださった先生と握手をして5階へ戻ってきた。

N先生、本当に有り難う。弊社の女性司会者が見学に訪れたこともあったが、彼女の「語り」を耳にされた際の驚かれたご表情が印象に残り、いつか私の「新しい声」が落ち着いたらご案内申し上げ、彼女とペアの仕事の現場を感じていただければと考えている。

 続いてのリハビリはOTで、初めて担当くださる先生から「肩を痛めておられるそうで」と言われ、横になって右肩のマッサージを心地良く受け、それが終わるとヘルパーさんに呼ばれ、シャワー・ルームで20分ほど過ごした。

 昼食を終えてからはPTリハビリ、いつもの先生が書いてくださった絵を基に実践練習、それは自宅に戻ってからの自主リハビリになる内容だった。

  大阪城へ行った2回の歩行テスト、71段の階段体験で強烈な筋肉痛に陥ったことが忘れられない思い出となったが、今は院内の階段で自主トレに励み、今日も 最近の号で紹介したチャングム看護師さんの誘いで階段へ。2階の売店まで階段で往復するまでに至っており、そんなご指導をくださったU先生に心から「有り 難う」と手を合わせている。

 振り返ってみれば、前のキリスト病院も同じで、リハビリの先生方に恵まれた私、それらが退院の期日を早めてくださったとも言えるだろう。

  正直に吐露すると外の世界に恐怖感を覚えている。発病から4ヶ月という月日の流れは風や香りさえも恐ろしく感じさせる存在になってしまった。ましてや厳し い夏の到来である。体温調整がままならない現状では問題があるが、「生かされた」というほどのいくつもの奇跡の中で「命」を「使う」と書く「使命」を余生 で果たしたい。

 病院で過ごす最後の夜、サテライト・コーナーで多くの方々と数十分の会話を交わした。中に中学生の男の子もいたが、彼にお釈迦様の「優曇華の花」と「盲亀の浮木」について
を話しておいた。「授かった命を大切に」と説教染みた内容で難しかっただろうが、少しは入力出来たと思っている。

  解散して部屋に戻って打ち込んでいたら、夜勤の看護師さんが夜回りチェックに。「仏陀のお説教みたいな環境でしたね」と言われたのでその偶然に驚いたが、 知り合った患者仲間とお別れになるのは寂しい限り。しかし、車椅子で立たなかった2人のお婆ちゃんの進化が何より嬉しい。「私の退院を送る時は立って ね!」とお願いしたことが実現した。

 ちょうど「北国の女神」と称する人物から素晴らしいプレゼントが届いていた。それぞれの退院につながる「かえる」の水引細工には言葉が添えられてあり、それが如何にも彼女らしい心配りだと感じ入った。

  そんなところから、今日の写真は彼女の水引細工の作品だが、過去に入院した際には6個の瓢箪が届けられ、今も本社の玄関に飾られている。弓道、香道、篆 刻、和歌など純日本的な世界に造詣深い彼女だが、何よりその高い文章力には誰もが衝撃を受けてしまう。「空飛ぶ水冠」で検索され「迷いの窓」の世界へどう ぞ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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