2009-04-17

ホスピタリティ  NO 2397


 嚥下食のテストを無事にクリア、ついに明日から普通食になるが、それはそれで心配なことも。偏食が病的なところから、ペーストなら飲み込むだけで解決しても「かたち」あるものは大変だから。まあ、パン食となっている朝食に期待するつもり。

  午後、OTリハビリの時間帯、文字を書く指導を受けていると、丸刈りのでっかい身体の人物がリハビリ室へ。誰の目にもその筋の大幹部という風貌、私もそん な感じを勝手に抱いていたら私が居たテーブルに来たのでびっくり。それは、私のために来てくださった心根の優しいお寺様。勝手な思い込みに心の中で「申し 訳ございません」と手を合わせた。

 そのお寺様から面白い体験談を伺った。ある時ふらふらと身体が揺れ、ひょっとして脳疾患と思って病院 に行ったら、「当院では無理です。脳外科へ」と断られたそうで、別の病院に行くと、「立って目を瞑って」と言われ、その通りにすると「脳疾患ではありませ ん。三半規管の病気ですぐ治るでしょう」と診断され、薬でしばらくで完治したという出来事だった。

 二つの病院でこれだけ異なる対応がされたとは驚きだが、医師の勝手な思い込みが如何に恐ろしいかという顕著な例で、ご訪問の皆様の参考になればとしたためることに。

 さて、昨号に書いた指摘事件のことだが、患者仲間の一人から「やっていたね」と言われ、思いもよらず広まっていることに驚いた。

 また、そのやりとりに気付かれた先生達もおられたようで、廊下で会ったらニヤッと会釈を送ってくれた出来事もあった。

 大きな問題に発展する前に収拾したいが、先生同士の話し合いもあったようで「これは不味い!」との思いで迷っていたら、私の入院生活のこれからについて書類を手に重職にある方が来室、そこで別室で話し合うひとときを設けてくださった。

 私が強調したかったのは病院側の患者に対する個人情報の問題で、前日のような光景が堂々と行われていることは理解し難いこと。大変なことを仕出かしてしまったというお二人の自覚と認識が何より重要で、単に私の気分という問題ではないと分かってほしいのである。

 この「独り言」に書いたことで広めてしまったことも事実。院内でご訪問くださる人達もおられるようで、リハビリ中に交わされる会話の中で内容について「**先生も見ているそうです」なんてことを耳にすることも少なくない。

 病院の英語である「ホスピタル」の語源は「ホテル」につながり、元来はラテン語の「ホスピターレ」にあり、メッカに向かう人達が心身を休める場所をそう呼び、それがホテルや病院の提供するサービス「ホスピタリティ」へと進んできたのである。

  故に、ホテルや病院に従事する人達は、その原点を忘れないようにありたいもの。ホテルのトップに君臨するリッツ・カールトンの「お客様は紳士、淑女であ る。そのお世話をする我々スタッフも紳士、淑女でなければならない」という理念も立派な考えだが、病院に従事する人達は「患者」の文字が何を意味するか真 剣に考えて欲しいものである。

 多くのホテルから招かれてサービスについて話しをした歴史があるが、総支配人の挨拶と私の紹介が終わる と、受講される彼らはに共通して「何で葬儀屋のオヤジの話を!?」なんて表情を見せてくれたのだが、そんな彼らに「火に油」というように、冒頭に発言して きたのが次の言葉だった。

「我々葬儀に従事する者にはホテルマン以上の資質が求められる。葬祭業とは究極のサービス業である」

  そこでみんなが腹立たしい表情になるが、5分も経てば真剣にメモを始める人が出てきて、講義の時間が終わった時の拍手は、それこそ理解に至ってくれたよう で、悲しみのお客様に対応するホスピタリティがどれほど難しいかを、共に考えてくれる仲間となった瞬間となるのである。

 明日は、土曜日。リハビリは11時15分からのOTのみ。ちょっと心身を休めたい時期でもある。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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