2008-12-09

献杯を捧げて  NO 2325


 土曜日、前号で書いた檀家さん達の忘年会に参加した。会場はお寺のご本堂だが音響システムが素晴らしく、開会に先立って唱和される宗歌のBGMが何か心地良かった。

 お2人の総代さんがご逝去された今年、それぞれのご葬儀でのナレーションを思い出しながらお念仏申し上げた。

 斜め前の席に初参加の女性が座られた。食事が始まってから会話を交わし、やがて私がその方のご伴侶の葬儀を担当した司会者であることを思い出され、もう七回忌を済まされたそうだが、印象に残っていたその時の出来事が無性に懐かしかった。

  そのご葬儀、式場に行ったら自衛官の制服姿の方々が参列されていた。階級について知らない私でも、その襟章のイメージからかなり高官だと理解できたのだ が、しばらくするとご当家担当責任者が私のところへやって来て「感謝状をお持ちになっているそうで『ご祭壇の前に』と仰っています」との報告があった。

  時計を確認すると開式10分前、すぐにお寺様の控え室に参上してご導師と打ち合わせ、式次第の中に「感謝状授与式」を組み入れるご了解を得て喪主様にご相 談、「お任せします」のお言葉から自衛官の皆さんのお席を前方に設けると同時に小さなテーブルを設置、その上に額立てを準備させた。

 やがて開式、ご導師のご焼香と表白が終了したところでご移動を願い上げ、事情説明から授与式に移り、3名の自衛官がご祭壇前で敬礼をされてから感謝状を読み上げられた。

 BGMは、いつもバッグに入れている「威風堂々」にしたが、女性スタッフが奥様を前方にエスコート、そこで感謝状の額を手渡されてから机の上にお供えいただいたが、その際に敬礼されている自衛官の姿と曲が見事にマッチ、何とも言えないひとときが式場空間に生まれていた。

 それが終わってからナレーションに入ったが、内容は当然アドリブ変更を余儀なくされたのは言うまでもなく、ご出棺の際に奥様と自衛官の皆さんから感謝の言葉を頂戴した出来事だった。

「あなたのあの時の司会ね、友人や自衛隊の皆さんで話題になったのよ。近所の方から聞いたら、あなたが葬儀司会者として全国的に活動されているそうで、道理で!と喜んでいたのよ」

 そんな嬉しいお言葉だったが、続いて「私の時にもお願いね。今から頼んでおくわね」と仰ったところで周囲の方々が大笑い、「生前予約したら長生きするわよ」というご発言まで飛び交ったが、<私の方が先に逝く可能性も?>なんて思いが過ぎった場となった。

  ご住職のご挨拶で「立派な職人さんとは反省はするが後悔はしない仕事をする人。私達の宗教で『忘年』とは、今年の出来事の中で後悔することはありませんで したか?反省する程度のことで済みましたかを考えるもので、来年には後悔することをされないようにと願うのです」というお言葉が印象に残った。

  そんなお言葉を伺い、恒例になっている私のオシャベリのところで僭越なことを申し上げて反省を。職人という信念と哲学を有する人達は自身の仕事に誇りを抱 き、「これまでの最高の仕事は?」と聞かれた時に「明日の仕事です」と言えるようになりたいものですね。と結んだからである。 ・・・ええカッコし過 ぎ!・・反省です?

久世栄三郎の独り言(携帯版)
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