2008-10-14

思い出話から  NO 2291


 雲ひとつない青空、そんな秋らしい日に行われたご葬儀、お孫さん達が書いたお爺ちゃんへの感謝のメッセージの内容が素晴らしかった。

 大阪弁で綴られた文章を、それらしく代読する司会担当者、それは如何にも彼女ならではのレベル、日常活用語と大阪弁を見事に使い分けることの出来るプロの成す世界である。

 ご出棺を見送ってからの帰路、運動不足解消を兼ね、ふと秋晴れの中を歩いてみたくなって遠回り、敢えて狭い道ばかりを選んで通ってきた。

 我が大阪の生野区には、戦争当時に不思議と空襲で焼けなかった地域があり、消防自動車も通れないような狭い道もあって、大地震での被害想定から行政が再開発を進めているところだが、道すがらに何軒も過去に私が葬儀を担当させていただいたお家があって懐かしかった。

 葬祭式場どころか地域の会館もなかった時代、お寺を式場とされる以外の大半がご自宅での葬儀。ご依頼から打ち合わせに参上、やがて飾り付けに伺うのだが、その時に必ず持参しなければならないものがあった。それはジャッキ、自動車のタイヤ修理に用いる工具である。

 玄関の扉、中に入って襖や障子が外せないケースが日常茶飯事、そこでいつもジャッキと長さの異なる数本の柱を持参していた。

 外すことも大変だが、葬儀を終えてから元通りにする作業がもっと大変。多くのご親戚の方々入られたことで床が下がったということも起きるが、時には床が抜けるというハプニングが発生したことも少なくなかった。

 古い建築で持参のジャッキでは間に合わず、近所の自動車工場の業務用ジャッキを拝借したということもあったが、今では、葬儀専門式場のスタッフとして、そんな歴史をまったく知らない若い人達が働いてくれている。

 日付が変ってからメールを確認したら、過日に「お別れの会」のアドバイスをした女性司会者から「お陰で無事に」という終了報告が入っており、主催者側の皆さんから「素晴らしい式だった」とのお言葉を頂戴したそうでホッとした。

 また、「遅れましたがご結婚記念日おめでとうございます」という他府県の女性司会者からメッセージが届いて恐縮、「何回忌?」とは言わないが、年々に時間の流れを早く感じる日々に一抹の寂しさを感じるこの頃だ。

 明日は雨模様ということで少し今晩から冷えそうなので、やぐらコタツを設置したら悪猫が大喜び。足を入れると引っ掻いたり咬んだりするので厚めのソックスに履き替えておかなければならない。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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