2008-04-08

司会は究極のサービス業  NO 2172


 遠方の式場で行われた合同葬のお通夜に行った。玄関を入ったところに設置されたメモリアル・ボードを拝見、そこにダイエーの創業者である中内氏とのツーショットや、アナウンサー現役時代の徳光氏からインタビューを受ける故人のお写真があってびっくりだった。

 追憶の編集DVDの創作もあったが、担当責任者と相談し、ご焼香後にお帰りになる弔問者のことを考慮、開式前に放映することとし、急遽4分間のアドリブナレーションをすることになった。

 お寺様は他府県からご来臨、お通夜をご担当くださったご導師は、お車を式場に置かれたまま近くのホテルにご宿泊されるそうだが、明日、遠方からお越しになる多くのお寺様が大阪市内の交通渋滞の影響を受けないように手を合わす。

 ご法話で涅槃経の一説を分かりやすくお話しされ、弔問の皆さんが頷かれておられたが、「5分ほどお話しを」と冒頭に仰られたお言葉が優しい感じで素晴らしく、ただそれだけで「この方のお話しを拝聴したい」という雰囲気が見事に醸し出されていた。

 男女2人の新人スタッフが式場におり、女性スタッフに「緊張しているか?」と確認してみると「固まってしまいます」との返事、そこで「緊張は、人を成長させることだと考えなさい」とアドバイスを。

 そのお通夜を終え、弊社の式場で行われていたお通夜を覗いたら、もう大半の弔問者がお帰りになったよう。玄関の警備担当のガードマンに弔問者数を確認、責任者から報告を受けてから近くの蕎麦屋さんで遅めの夕食。

 そのお店の奥様も弔問に来られていたそうで、司会を担当して女性司会者について質問をされた。

 最近、遠方のお客様が多くなる一方、重なってしまうことが増え、司会者の高レベルな育成が急務となっている。社内である程度の司会を担当可能なスタッフが6名存在するが、弊社の司会は何処よりも高レベルが追求されており、それぞれが真剣に研鑽を重ねている。

 前述の女性司会者は、かなりの高レベルにあり、上述の奥様からの評価も高かったのでホッとした。

 私が彼女に対して安堵感を抱いたのは、司会者として「アドリブ」が可能ということで、それは、ハプニングをハプニングでないように解決できる基本的なプロの大切な技術であり、「いざ」という場合に能力を発揮してくれるものである。

 司会を担当しながら予想外の事件が勃発することも考えられ、そこで一番に逃げ出したいのも司会者だという人もあったが、全国で活躍する多くの派遣司会者さん達との交流がある中、派遣先に「無責任な葬儀社が多い」との声があることを知って欲しいと願っている。

 派遣された司会者は、その葬儀社の社員のようなイメージで仕事をするが、何かミスが発生したら「派遣司会者ですから」で責任逃れをする葬儀社は最悪だろう。

  ご遺族や弔問者、会葬者には「社員じゃない派遣司会者だ」と瞬時に感じる人もおられるだろうし、そこで責任の使い分けに左右される司会者は災難である。司 会をミスったなら司会者が謝罪するべきだが、式場側の不備や葬儀社側のミスで責任を追及される司会者は心の中で寂しい思いを抱き涙を流しているのも事実。

 ちょっと豪そうなことを申し上げるが、司会とは究極のサービス業であり、細やかな気配りと心配りなくして成り立たない仕事である。だからこそ司会体験のある人が経営する葬儀社のサービスレベルが高いとも言えるだろう。

  最近、社会で「クレーマー」問題が騒がしいが、「葬儀」という世界でクレーマー問題が生じたら最悪である。「亡くなった母が悲しんでいると思います」なん て言葉に解決の道はなく、それこそ申し訳のない「争議」となってしまう。だからこそミスのない仕事に「細心」のハートを駆使するものであり、それは「砕 身」のレベルが求められる世界とも考えたい。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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