2008-04-07

基本の継続  NO 2171


 ある女性司会者から電話が。担当しているお客様に、宮内庁を通じて天皇、皇后両陛下をはじめ皇室の方々からのご弔慰の伝達があられたそうで、それを式次第の中でどのように進めるべきかという質問だった。

 故人は、きっと社会に対する大きな功績があられたものと拝察申し上げるが、儀礼的に問題のないようにと基本的なアドバイスをしておいたが、果たしてうまく進められたのかと心配をしている。

 全国各地から様々な質問や相談の電話を頂戴するが、誰か訊ける人が存在するとは便利で有り難いこと。私なんて、遠い昔、分からないことがあればあちこちに電話を掛けて教えて貰った歴史がある。

 若い内なら何でも教えて貰える。それは、どんな仕事の世界でも言えることだが、私の関係者は自身の礼節に厳しい人ばかり、だからこそこんな交流が続いているのだろう。

 携帯の番号は限られた人にしか教えていないが、会社の電話へは<!?>というケースも多かった。

  過去に四国の大手互助会の司会者さんから電話があり、ある政党が施主となって行われる大規模な党葬での式次第について質問された。プロなら誰でも知ってい る初歩的なことを理解されていないことに衝撃を受けたが、本番当日の朝だったらしく、かなり困られての行動のようだった。

 中にはアポを 取り、来社してから教えを乞うべきでは?と言うような問題もあったが、そんな礼節さえ分からない方との交流は一切しないのが私の考え。葬儀という大切な仕 事にあって何より基本となる「礼節」さえご理解されていれば、いつでも心の扉を開くという性格。もう長老と呼ばれる年代に突入モード。故に指導に情熱を燃 やしたいとも思っている。

「本番の見学研修を」という依頼も多く、体験された司会者さん達に「あがらないのですか?」と質問されることも少なくないが、私は何千人の前でも「あがる」ことは一切ないという不思議な性格の持ち主でもある。 

 これについて、過去に書いた話題を再掲すると、先天性赤面症という病的な人も確かに存在するが、それは別として、スピーチや挨拶をされる時に「あがる」方でも絶対に「あがる」ことのないケースが二つ想定されることを知っていただきたいものである。

 一つは、自分しか知らないことを喋る時。もう一つは、話したくてウズウズする内容の場合である。

 つまり、スピーチの原稿が最高にうまく出来上がったら「あがる」パーセンテージが「下がる」ことになる訳で、「うまく出来ない!」「笑われるのでは?」というような内容では必然として「あがり」につながるということだ。

 スピーチや挨拶は、文章に書き上げて覚えようとするところに「あがり」の要因が秘められている。「あがり」とは「暗記」と並行して生じるものであり、その最適な暗記方法については過去ログの何処かに書いてあるのでご興味があればご探求を。

 文章を手に、堂々と読むという行動も大切である。例えばブライダルのスピーチにあって、「朋友の慶びの日、きっと感極まって言葉にならないと考え、昨夜にしたためて参りました。読ませていただきます」と読めばよいのである。

  司会者に恐ろしいのがマンネリの中に生まれるミスである。人間とは突然に記憶が途切れることもあり、名前や日時など間違ってはいけないことは書いて読むの がプロの基本でもある。頭の中の「引き出し」にいっぱい詰めることは出来ても、それがどの「引き出し」だったか思い出せなくなることもある筈。そこに臆病 で謙虚という基本的な行動がミスを未然に防ぐ訳である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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