2007-08-18

??0数年前の時代に  NO 1948


 枕元に置いてある携帯電話が鳴ったような気がして目が覚めた。スタンドの明かりを点けて時間を確認、草木も眠る丑三つ時、携帯電話を確認すると相手表示が「公衆電話」で2秒で切れていた。

イタズラ電話にしては短過ぎるし「間違い電話?」と想像したが、あまりの暑さにエアコンのスイッチを入れた。

 健康によくないというエアコン睡眠だが、眠れない方が不健康という考え方もある。しかし、昨夜の暑さは本当に異常だった。

 そして、それから<エアコンを止めなければ>と思いながら1時間ほどウツラウツラ、そんな時、また電話が鳴った。

 相手標示は携帯電話、女性の声で緊急性を感じる悲痛なお声が飛び込んできた。

 何方かに番号を聞かれたのだろうが、お父様がご逝去され、病院側から「すぐに自宅へ搬送を」と言われ慌てておられ、折り返し担当スタッフから電話をと申し上げた。

 すぐに会社に連絡、「フォローをよろしく」と伝え、それから目が冴え起きていたら1時間ぐらいしたら報告があり、夜明け前に病院へ寝台自動車が到着すると聞いた。

 さて、何か不思議な意識を感じていた私、お通夜の始まる前に式場に行ったら、びっくりする女性がポツンと独りで会葬者席に座っておられた。

 その方は、私の青春時代に大変お世話になった女性。もう89歳を迎えられたと伺ったが、それは真っ白な髪が顕著に物語っていた。

 懐かしさでいっぱい。涙が出そうになった。30分ほどのお話しの中、17年前にご主人に先立たれたそうで、子供さんがおられず「私が死を迎えたら葬儀から納骨まで任せたわよ」と依頼された。

 当時、私の体重は49キロ。現在の体型をご覧になり、「何でそんなに太ったの!?」と驚かれたが、約30年間の人生を流すように説明申し上げた。

 そんな時、喪主様が式場に来られ、スタッフに供花について質問をされている。ご本人を確認してびっくり。白髪の女性のすぐご近所におられた方だったからだ。

 現在は関東に居住されているとのことだが、お父様のご不幸に関し、お姉様方に「久世という葬儀屋の知人がいるから探して欲しい」と仰られたそうだが、何やら不思議なご仏縁で弊社が担当しており、私を見られると同時に「懐かしい、よかった」という再会となった。

 同年代の喪主さんとは、随分昔の話だが、九州を結ぶフェリーの中で偶然に会ったことがあり、記憶が一気に昔モードに切り替わってしまうお通夜となった。

 明日、朝からナレーションを創作することにしているが、振り返ればそれこそ「三丁目の夕日」の時代なのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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