2007-02-09

こんなお方も!  NO 1773


 久し振りに「休載」を。それは目の調子による「救済」でもあった。大規模な式典を控えている。ぼちぼち進行シナリオを考えなければならず、ちょっとイメージを膨らませていた。

さて、あるお通夜での出来事。開式の1時間前に式場に到着。ご祭壇の前に進み<ご仏縁をいただき、今日のお通夜と明日の葬儀の司会を担当申し上げます>と手を合わせた。

 親戚の方々の大半は、まだお控え室におられるようで、式場内に3人だけしか着席されておらず、弔問者の方々もロビーにちらほらという状況だった。

 合掌を済ませて司会台で音響チェックをしていると、座っておられたお一人の男性の方がやって来られ、「焼香は、3回だよね?その目的は『仏・法・僧』の三宝に捧げるものだよね?」と仰る。

  通夜や葬儀の場で質問をされることが多いが、そこには様々な問題があることも知って欲しいものである。中には、上述のようなことを仰り、ご自身が宗教に対 する造詣深い知識をお持ちでありながら、私達のレベルを確認されるような質問行動をが見られること少なくないのである。

 焼香は宗派によって作法や回数が異なるが、このお通夜は真言宗。まずは「よくご存じですね!」と申し上げてから対応し、出来るだけ相手様のお話を拝聴する姿勢に終始するように心掛けた。

 そんな会話の中で、その方が香川県から来られたことを伺い、四国霊場など真言宗に関するゆかり深い話題を次々にお話しくださった。

 チラッと壁の時計に目をやると、参列者の皆さんの着席時間が迫っている。もうちょっと会話を続けたかったが仕方なく、「間もなく開式でございます。身口意(しんくい)三蜜のご焼香を」と申し上げて結びに。するとニッコリとされ、ご自分の席に着席をされた。

  故人は、四国のご出身。その四国から多勢のご親戚が参列されている。特徴的なことは都会の人達とは異なり、ご自分の宗教である真言宗のことをよくご存じと いうことがあり、ナレーションひとつにしても考慮する必要が生じる。そこで、真言宗特別バージョンで進めることに変更した。

 中に「お遍 路さん」「四国路」「金剛杖」「菅笠」「お大師様」など、耳にされるだけで誰でもイメージが理解できる言葉や、ちょっと<?>が生まれるであろうが「阿字 観」につながる弘法大師が読まれた「追善の詩」を朗読したのだが、葬儀を終えた後、上述の男性がやって来られ、「智泉大徳様の朗読、あれ、よかったよ」と 仰った時、背中にゾッと寒気が走り、その感触が未だに残っている。

 弊社が加盟する日本トータライフ協会のメンバーや塾生達なら知っているが、「阿字の子が阿字の・・・」という歌が、弘法大師が甥の智泉大徳様のご葬送に詠まれた追善句とご存じだったとは驚き。

ひょっとしたら<僧籍にあるお方では?>と伺ったら、「私ね、長男でね、当家は代々檀家総代をやっているのよ」と、何とも言えない柔和な表情でそう仰られ、自然に手を合わせてしまった出来事であった。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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