2002-09-02
音楽のパワー NO 183
宗教法人として登録されている宗教が山ほどあるが、活動が停止しているという状況のケースも非常に多い。
歴史の流れを遡ると様々な宗教の誕生と発展は、その時代背景に左右されているのも事実。時の権力者の擁護を得て急速に発展したというのも多くある。
森羅万象の一部が科学で解明されて行くに並行して、教義の一部に矛盾が生まれ、衰退を余儀なくされたというのも少なくない。
ややこしい見るからにペテン師のような教祖が出現し、カリスマやマインドコントロールで信仰を始め、悲惨な被害者が発生するという例も世界中にある。
宗教、国家、人種、イデオロギーなどをすべて超越し、数日の内に世界中に広がるものがある。それは音楽だ。
単独の宗教音楽とは異なる一般的な音楽、これらは国境だけではなく異教徒の垣根さえも越えてしまう猛烈なパワーがある。
いい音楽は短い期間で世界中に広がり、やがて名曲と呼ばれて歴史に刻まれ、人の寿命の何倍もの間に愛される存在となるのだ。
映画やテレビドラマ、そこには情景の背景に音楽が存在している。音楽がなかったらどうなるのだろう。
大切な方を送る葬送空間。そこで私が欲しかった音楽、それは儀式と癒しの演出音楽で、そんな道楽で制作につながったのがオリジナルCD「慈曲」であった。
会場空間を変えよう。大切な儀式が始まることを伝えよう。そんな時、照明のダウンと共に流す音楽だけで環境空間に変化が生まれ、言葉の伝達がなくとも見事な効果を与えてくれる。
日を改めて行なわれる社葬の場合、霊位、遺影、遺骨の入場が儀式として行なわれることがあるが、私は、そんな情景に「慈曲」の2番目に収録された「うたかた」を使用し、27秒のイントロ部分で照明のダウンを行なうことにしている。
そして旋律に入った時、式場の扉が開かれ霊位や遺骨が入場される。この曲は非常にゆっくりなテンポで、6分間前後の収録となっており、ゆとりを持って言葉の演出に入ることが可能となり、全国のメンバー達で重宝されている。
CD「慈曲」が完成してから、その中に収録されている10曲を数千回は使用したが、最近、この曲達の旋律の素晴らしさを再認識するようになってきた。
この場面にはこれしかない。そんな選曲が可能な曲達は、生まれる前から「情景ありき」というシナリオ構成で創作されたものであり、1曲の収録時間も余裕が持てるように、5分以上の曲が9曲ある。
一方で、一流と呼ばれる司会者の評価が高いという理由に、2コーラス目、3コーラス目や間奏部分を含めて、盛り上がり過ぎて音量を調整しなくてはならない というような編曲はなく、耳にされる方々にもさわやかに伝わるという秘められたアレンジも魅力のひとつとなっているようだ。