2002-06-25
感動的な光景 NO 116
これまでに何度か書いたが、葬儀社の立場で大切なことは、故人とご遺族の「お心残り」を少しでも解決して差し上げること。そして、故人との思い出を参列者の心の中に「形見」としてお持ち帰りいただくことである。
心残りの解決につながるシナリオ構築。そこで私が最も重要視していることは、参列者に「よかったね」という雰囲気が生まれること。
私が発案し、協会メンバーの一部で実践され、大好評を博している「命の伝達式」などは、そのひとつである。
今日のご葬儀で感動する光景があった。葬儀の形式は、故人のご遺志やご遺族のお考えから無宗教形式で、故人の「お心残り」のひとつが、最近に誕生された「初曾孫さん」のお顔を見ることが出来なかったこと。
故人には5人のお孫さんがおられ、お一人ずつお別れの言葉を捧げられ、最後に登場されたお孫さんが誕生されたばかりの曾孫さんを抱かれ、「お爺ちゃん、初曾孫の**よ」と語られ、式場には涙のひとときの中に「よかったね」というあたたかい空気が生まれていた。
この「独り言」は、多くの同業者の皆さんが訪問されており、企業秘密となることは表面化出来ないが、弊社では、上述の解決を指針し、ご遺族に様々なことをお願いすることに積極的に取り組んでいる。
これらは、宗教に基く形式、無宗教形式を問わずに進めているが、特に無宗教形式では、ご遺族と共に式次第を構築することが喜ばれている。
今、全国の葬祭業者さんが「無宗教が出来ます」と、お題目のように謳っておられるが、「会」や「集い」ではなく、「式」と感じていただける形式を提案出来るノウハウ、ソフトを有しているのは、日本トータライフ協会に加盟するメンバーだけであろう。
私が担当する無宗教形式は「礼節」を重んじ、通夜に代わる「前夜式」と葬儀当日の「告別式」との両方を、全く異なった内容で式次第を構成し、司会という単なる「進行係」ではなく「司式者」としての誇りを抱いてマイクを握っている。
これは、ご体感をされた方にしかご理解いただけないだろうが、宗教者がおつとめになられる「お説教」や、葬儀当日に行なわれる「引導」「告別詞」の真似事も行なっており、前夜式には参列者へ。告別式には故人へと、非常にテクニックを要する「語り掛け」を担当している。
故人の思い出のお写真を編集し、フォトビデオを放映することが流行しているが、弊社の場合は、前日と当日の音楽、ナレーションが全く別のものとなり、両方に参列された方々から驚愕されたお声を頂戴することも少なくない。
無宗教の潮流は、熱帯低気圧から台風へと確実に発達してしまっており、我々葬祭業者や宗教者の皆様への危機感に波及してきている。
「新しき」変革は「古き」を知らなければ出来ないと言われ、「古き」を学ぶと無宗教への矛盾と、後日に生まれる「人間の弱さを」の表面化の問題を知ることになる。
この部分での解決。それには、宗教者のパワーが重要であることを理解しながら、苦悩する時代を迎えている。